当院では、白内障の「日帰り手術」と、緑内障の「レーザー手術」を行っています。
網膜硝子体疾患や糖尿病網膜症などで行う網膜硝子体手術は、高度医療機関である川崎市立多摩病院で、当院の院長である私が執刀します。
手術後は川崎市立多摩病院での入院が必要になります。
白内障手術については専門サイトもご確認ください。
白内障の手術
白内障の手術は、時間にすると10分~20分ほどで終わります。ですので、手術終了後は帰宅して頂いて構いません。
手術の大まかな手順ですが、顕微鏡を使いながら水晶体を切り取り、そこに人工の眼内レンズを挿入していきます。この眼内レンズが、水晶体の役割を担ってくれます。眼内レンズを入れたからといって異物感はなく、取り外しの必要もありません。一度挿入してしまえば、半永久的に使用可能です。
また手術は局所麻酔で行いますが、手術中の痛みはほとんどありません。医師やスタッフの声は聞こえますし、意識もしっかりしています。患者さんはリラックスして手術を受けることができます。
もちろん手術箇所が眼球の内部というとてもデリケートな部位ですので、術者には経験と技術力が求められます。私自身、これまでに白内障手術、網膜硝子体手術の累計は約7,600件の実績があります。安心してご相談ください。
人工の眼内レンズの種類
水晶体の代わりに挿入する人工の眼内レンズにはいくつか種類があります。
一般的には単焦点眼内レンズを使います。レンズ自体の度数も細かく作られていますので、どの距離でも焦点を合わせられます。ただ、1ヵ所にしかピントを合わせることができません。例えば、近い距離にピントを合わせた単焦点眼内レンズなら、遠くの距離を見るためにはメガネが必要になります。その逆も然りです。
一方、単焦点眼内レンズとは別に、「近く」と「遠く」にピントを合わせた2重焦点の眼内レンズや、「近く」「遠く」「中間」にピントを合わせた3重焦点の眼内レンズもあります。これらは保険適応外になっていますので、自費診療となります。それでも患者さんにはニーズがありますので、診察時にしっかりとご案内させて頂いています。当院では、いずれにも対応した治療を行っています。
先進医療とは
厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた最先端かつ優れた医療のことです。
一定水準以上の医療技術を有する施設としての信頼と実績の証でもあります。
先進医療認定施設で治療を受ける場合に限り、その治療費用は民間生命保険会社の先進医療特約の給付対象となります。
また手術前後の診療には健康保険(国民健康保険、社会保険、後期高齢者医療保険等)が適用されます。
多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は2020年3月31日にて先進医療を終了となります。
白内障手術の大まかな流れ
1眼球を切開します。
点眼麻酔をした後、白目を約2.5mm切開し、水晶体を包んでいる袋(水晶体嚢)の前面を直径5mmほど切開します。
2濁った水晶体を取り出します。
超音波で水晶体を細かくした後で吸引します(超音波乳化吸引術)。
3眼内レンズを挿入します。
水晶体を包んでいた薄い袋の中に「人工水晶体(眼内レンズ)」を挿入して固定します。
眼内レンズは、アクリルやシリコンといった柔軟な素材ですので、切開幅が小さくても折り畳みながら挿入することができます。
緑内障のレーザー治療
点眼薬での期待した以上の効果が見られない場合、レーザー治療で眼圧を下げていきます。痛みはほとんど伴いませんのでご安心ください。また、外来受診なので治療後は帰宅できます。
レーザー治療には「レーザー虹彩切開術」と「選択的レーザー線維柱帯形成術」の2種類があります。
レーザー虹彩切開術
房水の出口が狭い閉塞隅角タイプの目に予防的に施します。具体的には、角膜と水晶体の間にある虹彩(こうさい)にバイパスを作り、房水の排出を促します。
選択的レーザー線維柱帯形成術
房水の排出口(繊維柱帯)にレーザー照射して房水の排出を促進します。
レーザー治療も絶対ではありません。時間が経過すると手術場所の周辺に癒着が生じるケースもあります。
その場合、点眼などを処方しながら眼圧を下げていきます。それでも眼圧が低下しないなら、手術(線維柱帯切除術)が必要になります。
網膜硝子体手術
網膜の内側にある硝子体は、眼球の大半を占め、卵白に似た透明なゼリー状の組織です。眼球の形状を保ち、中に入ってくる光を屈折させる役目を担っています。この硝子体が、何らかの原因で、濁ったり、出血したり、網膜を引っ張ったりすると、様々な目の障害が引き起こされます。
網膜硝子体手術は、硝子体内部で生じた疾患を治療するために用いられます。少し専門的な内容になりますが、まずは白目の部分に小さな穴を3ヵ所開けます。そこから細い器具を眼内に挿入し、眼球の中にある硝子体、網膜裂孔・増殖組織などを取り除き、網膜の機能を回復させます。
網膜硝子体手術の大まかな流れ
ほとんどの網膜硝子体手術は、局所麻酔で行っています。
手術室で目の消毒をした後、目の下に麻酔注射をします。それでも痛みが伴う患者さんには、手術中に麻酔を追加することでほとんどの痛みを取り除くことができます。
1白目の部分に手術機器を挿入します
白目の部分に小さな穴を3ヵ所開けます。3ヶ所の穴(創口)にはそれぞれに次のような目的があります。
1つ目:眼球の形態を保つための灌流液(かんりゅうえき)を注入する。
2つ目:眼内を照らす照明器具を入れる。
3つ目:硝子体を切除する「カッター」と呼ばれる器具や、レーザープローブなどを入れる。
2濁った硝子体を切除して膜を剥離します
濁った硝子体をカッターで切除していきます。眼球の形態を維持するため、切除した量と同量の灌流液を眼内に注入。その後、網膜上に張った膜や、増殖膜と呼ばれる分厚い膜などを必要に応じて剥離していきます。
3灌流液の代わりにガスを入れます
網膜剥離や黄斑円孔の手術では、灌流液ではなく、眼内にガスを注入して円孔(穴)を塞ぎます。
ガスを注入した患者さんには、手術後の数日間「うつ伏せの姿勢」で生活して頂くようお願いしています。場合によって、白内障手術も同時に行うことがあります。